ラストワンマイルの取り組みを徹底解説!

ラストワンマイルとは、通信業界を起源とするサービス提供に関する用語で、広域に展開するサービスを各世帯へと届けるための「最後の1マイル」のことを指し、現在では通信業界よりも物流や交通などの移動に関わる分野において頻繁に使用されています。

英語では「Last mile(ラストマイル)」や「Last kilometer(ラストキロメーター)」と表記されるケースが多いラストワンマイルについて、地域サービスの側面から詳しく解説します。

ラストワンマイルの特徴

ラストワンマイルは、広域に展開される通信や交通、物流に関する最後の1区間のことで、サービス提供者にとっては最も手間とコストがかかる区間となります。

例えば交通の場合には、広域サービスとしては電車や飛行機などの大量輸送があり、駅や空港までは多くの人々を一気に運ぶことが可能ですが、その後はバスやタクシーなど輸送手段が小型化していきます。

東京駅から大阪府太子町の株式会社京谷商会までを移動する場合には、公共交通を利用すると以下のような経路となります。それぞれの区間の距離は、移動距離ではなく直線距離です。

ラストワンマイルの特徴

東京駅 -新幹線 402キロ新大阪駅 1万4720円
新大阪駅 -地下鉄 9.6キロ天王寺駅 440円
あべの橋(天王寺)駅 -近鉄電車 17キロ上ノ太子駅 410円
上ノ太子駅 -金剛バス 1キロ竹内街道春日西 210円

これをキロあたりの運賃に直してみると、新幹線は1キロあたり36.6円、地下鉄は45.8円、近鉄電車は24.1円、金剛バスは210円となります。

このように地域の特定の場所に近づくまでの最後の1区間の料金だけが異常に高くなり、利用者にとっても割高であると感じる料金設定となります。ちなみに、上ノ太子駅からタクシーを利用する場合には約700円程度となり、さらにキロあたりの料金は高くなります。

ラストワンマイルが引き起こす問題

ラストワンマイルが引き起こす問題は、さまざまな分野において手間と時間がかかり、利用者が負担しなければならないコストを大きく引き上げてしまうことにあります。

通信、交通、物流のそれぞれの分野においてラストワンマイルの課題は異なりますので、分野ごとの課題と解決策としての取り組みをご紹介します。

通信業界のラストワンマイル

ラストワンマイルという言葉が生まれた通信業界ですが、日本では多くのエリアにおいて電話網が整備されていますので、ラストワンマイル問題が大きく取り上げられることはありません。

また、ケーブルテレビ会社によるインターネット接続サービスについても、戸別宅への有線敷設でありながら低価格で維持されており、日本の通信インフラの強さが感じられます。

スマホ用回線については、auとドコモが人口カバー率99%超であることを公表しており、無線通信網としてのインターネット環境も十分に整備されています。

ただし、このような日本全域を覆う通信網が整備には大きな費用がかかっており、低密度地域の利用者が少ないエリアでの設備投資にかかる費用については、すべての利用者が少しずつ負担しているような形となっています。

交通業界のラストワンマイル

交通分野におけるラストワンマイルは、さきほど例として示したような目的地に近づくほどに移動距離あたりのコストが増加する問題に加え、全く異なる視点でも議論がされています。

公共交通網が十分に整備されていない地方では、多くの人々が自宅からマイカーを使用して通勤や通学などを行うようになることから、交通渋滞を引き起こす原因となっています。

わずか駅までの数キロの移動手段が無いために、都心部までマイカーで移動することを選択しているという方が相当な数に上ると予想されています。

高齢者による交通事故件数の増加に伴い免許返納を求める声が高まるなか、マイカーが生活の基盤となっている地域では今後、公共施設や商業施設へのアクセスが困難な高齢世帯への対応が求められます。

なお、ラストワンマイル問題は、各世帯を起点とした場合にはファーストワンマイル(ファーストマイル)問題と呼ばれます。

物流業界のラストワンマイル

ラストワンマイルに関する話題のなかでは、物流業界は最も注目される分野です。

日本国内の物流網は複数の事業者が競い合うことによって常にサービスの向上が行われており、日本郵政の郵便サービスと合わせると、小口荷物を届けられないエリアは存在していません。

ただし、ECサイトからのオンライン通販を利用する人々が増加していることで宅配事業者は深刻な人員不足となっており、サービスの品質が低下していると感じている人が増えてきているようです。

このため物流業界では、ラストワンマイルで大きな負担となる利用者不在時の再配達を減らすために、宅配ボックスの設置を呼び掛けたり、宅配ロッカーへの配達を行うなどの対策を行っています。

また一方では、ラストワンマイルを巡る競争は激化しており、出前館やUberEatsなどの外食デリバリーや、OniGoなどのダークストアなどの業態が日本全国へと広がりを見せています。