葉っぱビジネスで地方創生を実現した地域商社

徳島県上勝町を拠点とする株式会社いろどりは、山々に生い茂る木々の葉っぱを”つまもの”として日本全国へと出荷している地域商社です。

町内の農家150軒と地元農協との協業によって行われる葉っぱビジネスは、年間2億円を超える売り上げを生み出しており、300種類以上の少量多品目の生産はパソコンやタブレットを用いたDXの実現によって管理されています。

地元の人々にとっては”あって当然”のものに価値を与え、地域経済に大きな収益を生み出している株式会社いろどりの取り組みからは、地域商社としての活動のありかたを数多く学ぶことができます。

寒波が襲った町のピンチから生まれた葉っぱビジネス

徳島県上勝町は1980年頃まではミカンや木材などが町の主な産業であったものの、時代の変化にうまく乗ることができずに衰退の一途をたどっていました。

さらに1981年に発生した異常寒波によって町内のミカンの木が大きな被害を受け、数多くの木が立ち枯れてしまうという事態に直面したそうです。まさに町全体の大ピンチです。

このような状況に対して、地元の人たちもただ何もせずに諦めていたのではなく、軽量野菜やマツタケ栽培などの状況改善のための取り組みを行っており、そのうちのひとつとして生まれたのが葉っぱビジネスです。

当時は地元農協の職員だった横石知二さんが1986年、山に生い茂っている木々の葉っぱを販売すれば立派なビジネスになることを発案し、「彩(いろどり)」と名付けたブランドで事業をスタートさせました。

葉っぱビジネスの”つまもの”の顧客とは?

葉っぱビジネスと聞いてもピンとこないかたも多いかもしれませんが、京都の料亭に代表されるような目で楽しむことも料理の一部であると考える飲食店では、器や皿の盛り付け時に紅葉などの葉っぱを添えます。

器や皿の盛り付け時に紅葉などの葉っぱを添えます

もちろん葉っぱは食べるものではなく美しさを目で楽しむもので”つまもの”と呼ばれます。

つまものには大葉食用ぎくなどが含まれ、代表的な産地としては愛知県が有名です。愛知県のつまものの販売金額は、大葉が105億円、食用ぎくが14億円、花穂が10億円で、決して料理の主役ではありませんが飲食店への安定的な出荷により大きな収益を生み出す農産物のひとつです。

上勝町での葉っぱビジネスが成功した一因は、つまものの生産は女性や高齢者でも取り組みやすい軽量野菜で、非常に付加価値が高いことがあります。

葉っぱビジネスが生んだ地方創生の効果

現在は株式会社いろどりの代表取締役である葉っぱビジネス発案者の横石知二さんは、地域ビジネスや地方創生をテーマとした講演会に積極的に登壇されています。

葉っぱの生産を行うことによって大きな収益が生まれるだけでなく、町に活気がもたらされ、高齢者の皆さんにとっては生きがいとなっています。

また、葉っぱビジネスの創業から30年が経った今、進学や就職によって都会へと出ていた若者たちがUターンで地元に戻るケースも出てきており、持続可能な町づくりが進んでいます。

地域に眠っている価値を見つけ出してビジネスを創造し、活気ある町を取り戻す姿は、まさに地域商社のあるべき姿であると言えるでしょう。

株式会社京谷商会では、大阪府太子町に眠る価値を見つけ出し、積極的な情報発信を続けることによって、飛鳥時代から続く歴史ある町を未来へと繋いでいく活動を行ってまいります。