TwitterやFacebookなどのSNSには、世間の認識とは大きく乖離している陰謀論やネガティブ情報について発信を行うことで人気を集めているアカウントが数多くあります。
また、さまざまな発信をしているアカウントのなかでも否定や批判をする投稿のほうが、いいね!が多くなるという傾向が見られます。
否定や批判、ネガティブな発信が人々に注目され、人気を集める理由には、ドゥームスクローリングと呼ばれる心理現象があるのかもしれません。
ネガティブ情報を探し続けるドゥームスクローリング
ドゥームスクローリングとは、TwitterやFacebookなどのSNSでネガティブな情報を探し続ける行為のことで、新たなネガティブ情報を見つけることで安心感を覚えるような心理状態によるものです。
気分が落ち込んでいる時や、孤独や不安を感じている時には特に、気づかぬうちにドゥームスクローリングをしてしまっていることが多いようです。
ドゥームスクローリングという言葉の起源は2018年とされており、2020年後半から2021年はじめごろに世間的に注目が集まりました。世界的に暗いニュースが多く、人々がネガティブ情報に引き寄せられていった時期だったのかもしれません。
ドゥームスクローリングの心理状態
ドゥームスクローリングは、SNSのタイムラインをスクロールしながらネガティブ情報を探し続ける行為であるため、SNSが登場する以前には存在しなかったものです。
しかし、ドゥームスクローリングをする心理状態は、実は人間の本能と深い関係があると専門家たちは分析しています。
米国オハイオ大学の研究者によると、人類は進化の過程において「自分に危害をおよぼす可能性があるため、ネガティブな情報に引き寄せられるように設計されている」そうです。
これは、いわゆるネガティブバイアスと呼ばれるもので、ポジティブな明るい情報よりも、ネガティブで否定的な情報の方が人々の注目を集め、記憶に残りやすいとされる現象です。
SNSのドゥームスクローリングにご注意を
ネガティブバイアスは人間に備わっている本能的な心理状態であるものの、SNSには利用者の興味関心に合わせて情報を表示するというプログラム設計がされているために、ドゥームスクローリングに陥りやすいという指摘があります。
つまり、ネガティブな投稿ばかりに関心を持っていると、SNSのプログラムが次々とネガティブ情報ばかりをタイムラインに表示してしまうために、ネガティブバイアスが加速してしまいます。
ネガティブ情報を取得することは人々に満足感を与え、ある種の高揚感を生むことから、なぜか楽しそうで自信に満ち溢れた文面でネガティブ情報を発信するアカウントが増加することになります。
ドゥームスクローリングで得られる満足感や高揚感は一時的なもので、精神的には決して良いものではありませんので、気分が落ち込んでいるときにはSNSを開かないようにするなどの注意が必要です。