空き資源の活用と 地方創生の現状を解説!

空き資源とは、地域に存在する「空き〇〇」の総称で、人口減少によって誰も使用しなくなった空き家や空き店舗、市町村合併などによって休校となっている廃校の校舎、また農地でありながらも農業生産が行われていない耕作放棄地などがあります。

これら空き資源の特徴は、うまく活用すれば資源として地域の活性化に大きく役立つ一方で、放置されたままでは景観や治安の悪化、地域活性化の妨げとなってしまうということです。

それぞれの空き資源の現状と、地方創生のために活用された具体的な事例、また株式会社京谷商会の取り組みについてご紹介します。

空き家 – 空き資源の代表格/全国で848万9000戸

空き家は、多くの空き資源のなかでも最も人々の目に留まりやすく、地方創生のために活用するためのハードルが比較的低い空き資源のひとつです。

総務省がまとめた平成30年の日本全国の空き家の総数は848万9000戸で、国内にある住宅総数のうちの13.6%を占めています。つまり、日本の全住宅の8戸のうち1戸は「空き家」です。

日本の全住宅の8戸のうち1戸は空き家

令和元年の新設住宅着工戸数は、国土交通省のまとめでは88万4000戸となっており、新たに建設されている住宅の約10年分程度の空き家が、日本国内には存在しています。

野村総研が2019年6月にまとめた日本の住宅に関する資料では、2023年に19%、2033年には27.3%の住宅が空き家になると予想しています。

株式会社京谷商会の本社は”空き家”

株式会社京谷商会では、30年モノの空き家を、高齢者向け配食事業のためのキッチンと、本社機能のためのオフィスとして活用しています。築年は不明ですが、おそらく築50年の平屋戸建てです。

大通りに面しておらず、外観も明らかに住宅であるため、来訪者にとっては非常に見つけづらいという欠点がありますが、開業時のコストを抑制することに成功しています。

2021年11月の段階では、まだ使用していない部屋が1つと、物干しとして利用されていたスペースがありますので、こちらも今後は何かしらの事業での活用を想定しています。

空き店舗 – 商店街の衰退とともに急増/全国で7万8404店舗(推計)

空き店舗に関する問題は、ショッピングセンターやデパートなどの大型商業施設の登場と共に社会問題となりましたが、目立った対策が講じられないままで商店街の空き店舗は増加の一途をたどっています。

中小企業庁の調べによると、日本各地にある商店街の空き店舗数の平均は5.3店舗で、全国の商店街の数が14655とされていることから、空き店舗の総数は7万8404店舗と推計されています。

商店街に含まれていない店舗も数多くありますので、実際の空き店舗の数はさらに多いものであると予想されます。

空き店舗が増加することによって地域住民の生活にとって利便性が極めて低下し、生鮮三品(肉・野菜・魚)が揃っていない商店街では来客が徐々に先細りしていく傾向が見られます。

廃校(休校校舎) – 空き資源の優等生/廃校施設の総数は6580校

市町村合併などを起因として発生する廃校によって休校施設となっている施設の数は、平成30年の統計では日本全国で6580校となっています。

一方、これらの廃校となった校舎のうち、何かしらの形で活用されている施設は4905校、割合では74.5%にも及んでいますので、他の空き資源と比べると積極的な活用の事例が多く見られます。

それぞれの地域において最も目立つシンボル的な存在であったり、街で最も大きな建物であるケースも多く、地域住民らによって積極的な活用がされているようです。

また、市町村合併という地域の人々にとって大きなイベントが発生するタイミングで廃校が生まれるため、住民らの議論や話題に上りやすく、活用しやすい環境があるのかもしれません。

耕作放棄地 – 産業の変化と共に荒廃する農地/全国で42万3000ヘクタール

耕作放棄地とは、1年以上にわたって農業生産に活用されておらず、翌年以降も作付けの計画がされていない農地のことで、農林水産省の平成27年の統計では全国で42万3000ヘクタールとなっています。

全国で42万3000ヘクタール

耕作が行われず雑草が生い茂る耕作放棄地は、地域の農業生産にとってマイナスになるだけではなく、景観の悪化による地域のイメージ低下や、ごみ投棄や不法侵入者の隠れ場所などの治安を悪化させる原因にもなります。

耕作放棄地の総面積である42万3000ヘクタールは、富山県や埼玉県の面積よりも広く、東京都と大阪府を足し合わせた面積よりも広いです。

株式会社京谷商会は耕作放棄地を活用して新規就農

株式会社京谷商会では2021年2月、これまで十数年にわたって農業生産が行われてこなかった耕作放棄地の利用権をいただき、小松菜やニンジン、キュウリなどの栽培を始めました。

2022年2月には最初に借りた農地を有機JAS適合農地としての認証手続きを開始予定で、耕作放棄されていたことをメリットとして活かすための取り組みを行います。

農林水産省では2050年までに日本の農地で生産される農産物のうち25%を有機栽培された作物とすることを目標に掲げており、耕作放棄地の利活用が目標達成に向けて大きく寄与すると株式会社京谷商会では考えています。

空き資源の活用と地方創生にてついて

空き地や空き店舗、廃校、耕作放棄地などは一般的に地方衰退の象徴として扱われることが多いですが、これらの「空き〇〇」を資源として捉えることによって地方創生の大きな原動力となる可能性があります。

地方での空き資源の再活用の取り組みには、それぞれの地域ならではの課題も数多く存在しているため、都会の空き家や空き店舗と比べると活用までのハードルが高い傾向にあります。

しかし、こうした空き資源の積極的な活用の事例が積み重なることによって、次々と理解者が現れ、次第に協力者として積極的な情報提供や支援をしていだける人々が増加することは地方の強みであると言えます。

株式会社京谷商会では今後とも、大阪府太子町のさまざまな空き資源を探し、地域の人々への理解を求めながら、積極的な地方創生への取り組みを進めていきたいと考えています。